Keynote and Invited Panels

 

Keynote Panels 基調パネル

September 4  15:30-17:20

Keynote Panel 1 |基調パネル1(USP)

 

Moderadora: Sumiko Nishitani Ikeda (PUC)

Japoneses e seus descendentes no Brasil: um histórico baseado nos censos populacionais 

Kaizô Iwakami Beltrão (EBAPE-FGV)

Este trabalho pretende traçar o perfil da população de origem japonesa no Brasil, focalizando em variáveis indicadoras de localização e migração no pais (por UF), sexo e grupo etário, alfabetização e educação da população nikkey (japoneses, descendentes e seus respectivos cônjuges). São utilizados os dados fornecidos pelos censos demográficos entre 1872 e 2010. Para os anos entre 1980 e 2010 são apresentados também os fluxos migratórios dos japoneses natos entre os diferentes estados brasileiros. Para os censos entre 1960 e 2010, estão disponibilizados os microdados da amostra que possibilitam as tabulações apresentadas, à exceção do censo de 1970 que não incluiu um quesito sobre cor/raça que permitisse a identificação dos nikkeys. Para os censos anteriores a 1960 não existem microdados disponíveis e as informações são oriundas de publicações do IBGE. Em 2010, por causa de um problema na coleta no quesito de raça/cor, não foi possível estimar a população nikkey, somente a população de japoneses natos, naturalizados ou não brasileiros. Para as informações de alfabetização e escolaridade, foi utilizada como proxy para este ano, a população autodeclarada amarela no agregado das PNAD do entorno: 2008, 2009, 2011 e 2012.

 

Contagem da População Nikkei ao longo da história da migração japonesa para o Brasil 

Marcelo Daisuke Yamaki  (Doutorando, UNICAMP)

Estatísticas populacionais constituem parte essencial do discurso sobre a identidade coletiva da comunidade dos imigrantes japoneses no Brasil e de seus descendentes. Nem sempre ficam claros os critérios utilizados para se definir quem são os japoneses e seus descendentes mostrados nos dados demográficos; e, quando há a preocupação em se descrever as premissas, não costuma haver um debate sobre as vantagens e desvantagens para tais escolhas, nem os motivos para a decisão. A proposta desta apresentação é discutir definições de quem foi contabilizado como pertencente à comunidade nikkei ao longo da história da migração a partir de documentos selecionados. Não se espera obter uma resposta definitiva à questão de como se quantificar o grupo populacional em questão, apenas promover um debate sobre as implicações da demarcação dos limites da comunidade nikkei.

 

A necessidade de um estudo inter e transdisciplinar no ensino-aprendizagem da língua japonesa do Brasil

 Leiko Matsubara MORALES – Universidade de São Paulo, Brasil

Levando em conta os conceitos de superdiversidade (VERTOVEC, 2007; BLOMMAERT;RAMPTON, 2011; MOITA-LOPES, 2013), a presente apresentação visa contribuir para compreensão e revisão crítica da diversidade no contexto do ensino-aprendizagem de língua japonesa do Brasil, que pode ser notada desde o período pré-guerra até os dias mais recentes. Tradicionalmente, os estudos sobre o ensino-aprendizagem no Brasil ancoram em artigos com uma única perspectiva, com matrizes binárias e excludentes. Com o intuito de provocar reflexões, apresentaremos cronologicamente alguns dados estatísticos e linguísticos que foram coletados na nossa pesquisa de campo, fontes bibliográficas e que inspiram estudos cada vez mais inter e transdisciplinares. A emergência de aprendizes de língua japonesa não-descendentes, observada em grande escala, a partir dos anos 2000, tira do foco o ensino unicamente voltado à língua de herança, como também voltado para aqueles que possuíam o domínio da habilidade oral da língua. Muitas vezes, as variações linguísticas foram banidas do seu convívio social para dar lugar a falares consideradas “padrões” que são distantes do falar local, destituído dos sentidos produzidos das práticas locais e matizes culturais. Nesse sentido, queremos trazer o hibridismo, a fluidez, a dinamicidade, as mudanças como tema central para que possamos a pensar nas produções linguísticas e culturais resultantes das práticas sociais dos indivíduos que aqui residem, como parte de uma comunidade local, mas que não deixa departicipar da sociedade majoritária, e que ao mesmo tempo, não deixa de ser um sujeito globalizado.

September 5 10:00-12:00

Keynote Panels 2 | 基調パネル2 (JSPS)

社会・人・ことばの動態性と統合ー「日本」とのかかわりを中心にー

Abstract (google doc)   [PDF]

パネル趣旨

 本パネルでは主として社会・人・ことばの動態性と統合について議論するものである。本国際シンポジウムには以下のように趣旨が書かれている。

 現在、交通手段、通信手段の発達により、空間に拘束されない生活が基本的な居住態となっています。社会・人・ことばの動態性が高まったことで、国、民族、社会、言語などについて、従来当たり前のものとして捉えていた考え方を根本から変えていく必要性に迫られています。
同時に、地球規模の移動により、こどもの教育や発達の問題、コミュニティの問題、国の言語政策の問題なども起こっています。移動や移住によって教育、福祉、コミュニティ、政治に混乱が起こり、社会的な問題となるケースが世界中で起こっています。まず、こうした状況がことばや社会に与えている変化や影響を的確に観察し記述する研究が求められています。そして、平和で社会包括的な世界へと導くための学際的な研究が求められています。

 人の移動・移住の問題を考える際、ある場におけるある現象だけを、ある一分野において研究していては、「なぜそのような状況が起きているのか」「これからどうすればいいのか」を包括的に検討することはできない。時間・空間軸、そして社会・人・ことば等を歴史学、社会学、言語学、文化人類学、教育学等の分野から学際的・複合的に検討する必要がある。しかし、現状ではそのような移民にかかわる学術間連携が十分であるとはいいがたい。
現在本プロジェクトチームは
「日本」にかかわる動態性と統合を考える際で重要な視座をしてくれる南米日系社会に着目し、多様な学術分野の専門家が連携し、調査研究を行っている(「南米日系社会における複言語話者の日本語使用特性の研究」(JSPS科研海外学術調査16H05676))。本パネルでは、「日本」と「移動」「ことば」にかかわる研究を南米以外のフィールドでも行っている研究者が、他地域での研究成果を今回の南米調査結果によって得られた知見とまじえて報告する。そして「社会・人・ことばの動態性と統合」ということを議論するにあたり、従来の研究では十分に検討されていない点、今後の研究のための新たな視点の提供、問題提起などを行う。

パネリストプロフィール

ダニエル・ロング Daniel Long(首都大学東京)

1963年アメリカテネシー州生まれ。1987年に大阪大学大学院入学。1995年同大学院から博士(文学)取得。大阪樟蔭女子大学日本語研究センターの助教授を経て、現在、首都大学東京 大学院 人文科学研究科 人間科学専攻 日本語教育学教室教授。主な著書に『小笠原諸島の混合言語の歴史と構造 日本元来の多文化共生社会で起きた言語接触』(ひつじ書房)他多数

中井精一 Nakai Seiichi(富山大学)

1962 年 奈良県生まれ。富山大学人文学部 教授 博士(文学)(大阪大学)専門は社会言語学。日本国内のみならず、朝鮮半島、台湾、ミクロネシアなどで調査・研究に従事してきた。主な著書に『世界の言語景観 日本の言語景観』(共編著)2011 年 3 月 桂書房 ・『都市言語の形成と地域社会』2011 年3月 和泉書院・『関西弁事典』2018 年 3 月 ひつじ書房他多数

尾辻恵美  Otsuji Emi(シドニー工科大学)

シドニー工科大学、准教授。 主な研究分野は、社会言語学で、特にグローバル化の街における日常言語活動への影響(メトロリンガリズム)が有名である。また、セミオティック景観、パーフォーマティブ論に基づいた言語とアイデンティティの研究、市民性・公共性とことばの教育、言語教育における批判的談話分析などが挙げられる。

岡田浩樹  Okada Hiroki(神戸大学)

日本の文化人類学者。博士(文学)(総合研究大学院大学)。神戸大学教授。東アジア、特に韓国・朝鮮半島の研究調査から、近代化、グローバル化における社会・文化の再編成の問題、特に移民、移住者、社会の多文化化の問題、地方地域社会の変容の問題にとりくみ、日本、ベトナム、ブラジルへフィールドを広げている。さらには宇宙開発(先端科学技術)と社会・文化の問題(宇宙人類学)についても業績を残している。岐阜県高山市生まれ。

September 6  14:50-16:50

Keynote Panel 3 | 基調パネル3(FJSP) 

コミュニティ形成と日本語教育 -南米日系社会が伝えるもの

 趣旨

 南米10カ国の日本語教育支援を行う国際交流基金サンパウロ日本文化センターのパネルディスカッションでは、南米の日本語教育の原点にある日系社会の日本語教育を考察することで、南米の日本語教育の在り方の可能性を示唆したい。

 南米における日本語教育の原点には、日本人移民の存在がある。移住当初の日本語教育は、移住者子弟を対象とした国語教育と言われているが、その背景には移住者が地域総出で労働に従事する中、日本語のみならず子弟への教育全般を地域全体で行う場が必要なことがあった。そのため日系社会が運営する学校には、語学習得だけではない教育的な機能があり、これは「ことば」だけではない子どもの資質や能力を育成するための日本語教育だと言える。しかし、いわゆる語学学習を目的とした日本語教育とは一線を画すため「日系社会の日本語教育」と一括りにされ、ともすれば「時代から取り残された消えゆく日本語教育」と思われがちである。だが実際には、地域が一体となって他者と協働することを基軸に、判断力、思考力、創造力やコミュニケーション力といった子どもの資質や能力の育成に根差した教育は、21世紀型スキルにも代表されるように、今後の日本語教育に取り入れるべき課題である。南米ではこのような地域一体型で子どもの育成を視野に入れた日本語教育の取り組みは、約半世紀におよぶ蓄積があり、実践例も多く特徴的な事例であると考える。

 また南米各国にある日系社会は、移住時期や方法、受け入れ国での待遇、地域社会の結束因子、現在の課題など、各地の状況は全く違う。このような日系社会の実態の違いは、ことばや日本語教育に求める役割に影響を与え、その結果そこで形成される日本語学校の運営形態が変わり日本語教育の在り方にも違いを生むため、一国だけを見ることでは十分ではない。さらには、世代交代、少子化、日本語離れなどの問題も併存し、日系社会の日本語教育を形作る要因を検討するためには、各国の日系社会における社会、人、ことばの移り変わりも含めて多角的な視点から見る必要があると考える。

 これらを踏まえ、南米ではどのような人間像の育成を目指して日本語学校を運営し、どのような日本語教育の取り組みを実践しているのかを考察することで、地域社会の存在がどのように日本語教育に貢献できるのかついて考え、今後の南米の日本語教育の方向性について検討したい。

 

発表要旨

 本パネルでは、アルゼンチン、ボリビア、ブラジル、パラグアイの日系日本語学校で日本語教育に携わった経験を持つ4人の教師の発表から、地域社会ができる日本語教育への貢献とは何かについて議論したい。発表者は、各自が所属する日系社会の形態、保護者や地域の人々の学校運営への参画方法、授業における地域の交流会やイベント活動などの取り入れ方等の事例を紹介し、現場教師の目線から日本語教育とそれを取り巻く地域社会との関係を明らかにする。ディスカッションでは、参加者とともに以下の3つについて検討する。

  1.   日系社会の日本語教育における「ことば」と「育成」の関係
  2.   日系社会が日本語教育に期待していること
  3.   地域社会が日本語教育のためにできること

 これらを通して、日系社会が目指す日本語教育の在り方とは何か、それは、言語習得を目指した日本語教育と何が違い、何が同じなのか、と問いを深め、最終的に地域社会の存在が南米の日本語教育にどう関与できるのかを考えたい。

キーワード 移住地、日系社会の日本語教育、子どもの育成、コミュニティ形成

パネリストプロフィール

森 クリスチーナ(アルゼンチン エスコバール日本語学園:日本語教師) 

ブラジル・サンパウロ州モジダスクルーセズ市出身。サンパウロ大学のコンピューター学科に在学中に、県費留学制度で1年間、福島県いわき明星大学(現医療創生大学)理工学部に留学する。帰国後は、サンパウロ大学のコンピューター学科にて修士課程を修め、卒業後結婚のためアルゼンチンへ移住。9年前よりエスコバール日本語学園で日本語教師を務め、担当は、小学生、能力試験N5対策クラス。日本語の授業では、算数やパソコンを使った取り組みを積極的に行っている。

本多 由美(ボリビア サンファン学園 日本語科主任)

ボリビア・サンファン日本人移住地に生まれ育ち、幼少期はサンファン学園でボリビアの義務教育課程と日本語を学ぶ。22年前より同学園で国語指導を中心とした日本語指導を始める。日本の国語教育の知識を深める必要性を感じて、栃木県の國學院大學栃木短期大學に留学し、小学校と幼稚園教諭の免許を取得する。卒業後は同学園に戻り、2009年にJICAの継承日本語教育基礎2研修(現日系継承教育研修育成2)に参加して、3カ月間日本で日本語教授法を学ぶ。現在は同学園の日本語科の教務主任を務めている。

安楽久美(ブラジル セニブラス・スザノ日伯学園)

コチア青年の父のもと、サンパウロ州モジダスクルーゼス市に生まれる。家庭では日本語、学校教育はポルトガル語という環境の中、同州のレジストロ市で育つ。青年時代にミナスジェライス州に引っ越し、同州の師範学校にて小学校の教員免許を取得する。一度日系企業に勤めるが、結婚後、日本語で子育てをしたことをきっかけに日本語教師を目指す。2004年よりスザノ金剛寺学園に、2006年からセニブラス・スザノ日伯学園で日本語教師を勤める。2007年にブラジル日本語センターの「日本語教師養成講座」を修了し、2010年には国際交流基金の海外日本語教師短期研修(夏期)に参加している。 

堀川 るみ(パラグアイ 公教育校:日本語教師、青空塾:スペイン語教師)

パラグアイ・イタプア県オエナウ出身、ピラポ在住。パラグアイ教育学部在学中にエンカルナシオン日本語学校にて、日本語教師を始める。卒業後渡日し、群馬県太田市の小学校で3年間バイリンガル教員を務める。パラグアイ帰国後はエンカルナシオン大学教育学部に通いながら、エンカルナシオン日本語学校で日本語教師及び校長職も務める。現在は、エンカルナシオン大学修士課程で学ぶ傍ら、公教育学校で日本語指導をする。主催する私塾「青空塾」ではピラポ日本語学校の小学生を対象にスペイン語指導を行っている。

モデレーター

 松原モラレス礼子(USP)

 

 

Invited Panels |招待パネル

September 5 15:00-16:30

Invited Panel 1 [PDF]

複言語・複文化教育としての日本語教育に必要な地域間連携とは何か-日本、ブラジル、アメリカ、その他地域との連携を考える-

キーワード: 継承語教育 外国にルーツをもつ子ども 移民 ネットワーク

 

  本パネルでは、複数の言語・文化環境で育つ子どもたちの言語、日本語のあり方と、そのような子どもたちが生きる環境を整えるのに、各地域間で必要な連携とは何かを議論する。

  言語の機能は、単にコミュニケーションツールとして、人と人をつなぎ必要なタクスを達成するだけではなく、思考の媒体として世界に対する知識を形づくり、価値観の創造に寄与する。またこれらの活動を通して、人は自分がどのような人間か、どのように生きるのかを、他者との関係から、あるいは社会に存在する価値観との相克・対立から見出していく。これらの言語機能を仮にコミュニケーション、思考、アイデンティティとすると、外国語教育としての日本語教育は、思考やアイデンティティといったものが確定した成人のためのものであり、主な関心は言語のコミュニケーション機能にある。しかし、近年のグローバル化の結果、日本における外国人子弟、外国における日本人子弟、国際結婚家族の子弟など、複数言語の環境により育つ子どもが増加してきた。それに伴い、日本語教育は複言語・複文化教育の一貫として、コミュニケーション機能のみならず、思考、アイデンティティを含む包括的な機能を視野に入れられるようになってきた。ブラジルをはじめとする南米諸国の日系人子弟の日本語教育はその先駆けであり、その歴史と言える。

  これらの子どもたちは、外国にルーツを持つ子ども、継承語学習者、日系人子弟などと呼ばれる。これらの概念に共通するのは、現在、参加している社会と異なる文化や言語に紐付けられ、さらに自己内に複数の言語・文化が機能しているとされている点である。確かに、子どもたちは複数の言語形式、異なる文化習慣・行動を併せ持っている言えるだろうが、同時に、子どもたちは、それらの差異を超えて一人の存在として、コミュニケーションし、思考し、自分の生を創造している。複言語・複文化教育としての日本語教育とは、このような「多にして一」という子どもたちの二重性を明確に意識し、複数の言語・文化の境界を超えた一人の人のことば、その中の日本語の位置を明確にし、教育の柱とする。

このような状況の中、それぞれの国・地域で日本語教育実践が行われれるが、各地域での連携の必要性はないだろうか? また、その連携はいかなる効果をもたらすだろうか? 本パネルでは、未来の企画に向けて、日本、ブラジル、アメリカ、その他の地域での具体的な連携の可能性について、会場の参加者も含めて議論したい。

 

パネリスト

カルダー淑子(プリンストン日本語学校)

野山広(国立国語研究所)

丹羽義和(ブラジル日本語センター)

 

モデレーター

福島青史(早稲田大学)

 

September 5 16:40-18:10

Invited Panel 2

内容言語統合型学習(CLIL)に基づいた PEACE プログラムの構築 ―異なる日本語レベルとテーマによる実践―

キーワード CLIL、4C、社会的課題、スキャフォールディング、日本語教育実践 

 

「なんのために言語を教えているのか」このような問いを言語教師は自分に向けること 

があるのではないだろうか。外国語教室は、学ぶ言語を通して、また参加する学習者が持つ 社会背景や文化背景を活用して、様々な活動が可能である。学習者の言語能力の向上とクリ ティカリティの育成を担う外国語教育の場においては、社会的課題などをもっと意識的に 取り込み、考慮して教育を実践することが求められている。日本語教育現場において、昨今 の社会情勢をふまえ、自分たちをとりまく社会、世界をより平和的なものにするために何が できるのか、世界的な共通課題を乗り越えていくためにどのような後押しが可能なのかに ついて考える必要がある。そこで本パネルでは、Content and Language Integrated Learning (以下 CLIL)を取り入れた PEACE プログラムを提案し、授業実践で行った工夫や、成果 や課題を具体的に示す。 

CLILとは、学習者が特定の教科またはテーマを学ぶことにより、内容の理解と目標言語 

の運用能力、学習スキルの向上を同時に進める教授法であり、4C(Content:内容Communication:言語知識・言語使用, Cognition:思考, Community/Culture:協学・異文 

化理解)を意識して活動を取り入る点が特徴的とされる(Coyle et.al. 2010, 奥野他 2018)。 

本プログラムでは、「PEACE」という5つのテーマを取り上げた。「P:Poverty 貧困からの脱却」「E:Environment 環境」「A:Assistance in need 自立のための援助」「C:Cooperation & Communication 協働と対話」「E:Education 教育」である。これらのテーマは、これから世界とつながる社会へ出て行く若者が人として考えるべき問題、また多角的な視点から思考を深めることができる内容でもある。 レベルに応じて、初中級では、身近な「食」に焦点をあて、主に日々の食事から世界の食 や環境に関する問題(E:Environment 環境)について、中上級では、目を背けがちな「貧困」に焦点をあて、貧困のメカニズムや貧困解決を目指した活動(P:Poverty 貧困からの 脱却)について、超級(母語話者を含む)では、受講学生の専攻である「教育」に焦点をあて、複言語環境で育つ子どもが直面している課題と支援策(E:Education 教育)について取り上げた。そして、各テーマと自分達との関わりについて知り、説明し、考え、発信する能力・技能(4C)を養うことを共通の目的とした。 

 本パネルではレベルの応じた 3 コースをどのようにコースデザインし 4C を意識した活動を取り入れたのか、どのような取り組みを行ったのかを発表し、授業実践に見られる課題や、受講者の学びがどのように深まったか、学習・教授プロセスを分析する。分析対象は、学習者の成果物、ポートフォリオ、担当教師や実習生による観察・レポート等とする。そして、3つのレベルからの発表の後、ディスカッサントとのディスカッションによって、ブラジルの日本語学習者への応用の可能性を探り、教育現場に還元可能な具体的な情報を提示することを試みる。 

パネリスト と報告テーマ

奥野由紀子(首都大学東京)「初中級における世界の食や環境をテーマにした実践 

―スキャフォールディングでつなぐ―」 

佐藤礼子(東京工業大学)「中上級における世界の貧困問題をテーマにした実践 

―コミュニティで学ぶ―」 

渡部倫子(広島大学)「超級における複言語環境で育つ子どもの教育をテーマにした実践 

―ポートフォリオで振り返る―」 

 

モデレーター 奥野由紀子(首都大学東京) 

ディスカッサント 阿部新(東京外国語大学) 

 

September 6  10:20-12:00

招待パネル3

往還するこどものことばと教育 ー すべてがつながり、すべてが「+」になる教育をめざしてー

キーワード CLD児童生徒 複言語 アーティキュレーション 往還 インクルージョン

発表要旨[PDF]

要旨

地球規模の往還の時代において、両親の往還に帯同するこどもの教育のアーティキュレーションとインクルージョンをどのように実現するかは大きなテーマである。現状では、一回性でなく、繰り返される移動によって言語能力や認知力の発達が阻害されている子どもが増加している。移動によってことば、人的ネットワーク、教育システムが分断されるため、移動元の言語を喪失する、家庭内言語が十分に保持されない、移動先の学校に適応できず不登校になる例などが確認されている。今後人の往還は更に加速することが予想されるため、分断のない教育をいかにして可能にするかが課題である。つまり、往還してもまなびつづけられるような共通の参照枠に基づいた教育システムのアーティキュレーションの実現と多様な言語文化背景に対応したインクルーシブな教育デザインが必要である。

ホスト国の言語だけでなく、マイノリティの言語による学びの機会をいかに保証するか、マイノリティの言語による自己実現の機会をいかに保障するか、家庭内言語をいかに学校の場でも奨励できるかが、彼らの学びのアーティキュレーションを考える上で重要である。同時に、複数言語によって学校教育を受けるこどもたちに、学年による一律の学習到達目標を設定しないこと、参照枠によって言語能力や学力を評価し、異年齢の子どもが能力レベルに応じて学べる柔軟さも重要である。

本パネルでは、往還の時代を生きる南米ルーツのこどもたちの複言語能力についての研究成果、および、日本の集住地区の公立学校でのインクルーシブな教育実践について報告し、議論の場を提供する。

 パネリストと報告テーマ

櫻井千穂(広島大学):日本在住のCLD児童生徒の二つの言語能力の実態―対話型アセスメントを活用してー

宮崎幸江(上智大学短期大学部):日本育ちの子どもの日本語力とペルー帰国後の適応

伊澤明香(大阪経済法科大学):ブラジルの日本とつながりのある子どもたちの日本語保持と家庭内言語環境

平吹洋子(愛知県豊田市立保見中学校):南米ルーツ児童生徒の集住地域における公立学校の挑戦

モデレーター

 松田真希子(金沢大学)